不動産を売却した際の申告は、それだけを申告すればいいわけではありません

不動産を売却した場合には、申告が必要になるケースが多いのですが、その申告の際は不動産の売却に関する申告だけをすればいいわけではありません。


(この勘違い、かなり多い気がします)

不動産の売却の税金は単独計算

不動産の売却の税金は、給料や事業などの税金の計算のしかたと異なります。

所得税や住民税の場合、基本的にはすべての収入を合算して計算し、それに合わせた税率をかけて計算します(住民税の税率は一定ですが)。

所得税の速算表とは

一方で、不動産の売却の税金は、他の収入とは合算せず、税金も単独で計算します。税率も基本的には一定です(通常は20.315%)。

不動産を売却した場合の税率は3パターン

こういったことから、不動産の税金は他の収入があったとしても、単独計算が基本なので売却収入さえ分かれば、税額も確定してしまいます。

そのためか、他の収入があってもそれを申告せず、不動産の売却に関する申告をすればいいと考えている方が非常に多いですがそんなことはありません。

全ての収入の申告が基本

確定申告は、1年間のすべての収入を計算して、税額を算出して申告するものです。

・不動産を売った
・満期の保険が入った
・株の損失が出た
・住宅ローン控除を受けたい

といった理由で確定申告が必要になるケースがあるかと思いますが、こういった理由であっても、確定申告する場合には、その年の全部の収入をする必要があります。

・給料で年末調整を受けている
・20万円未満の申告不要の収入がある

といったものも、確定申告する場合には、こういった収入もすべて申告する必要があります。

20万円以下の確定申告不要ルールで間違えてはいけないこと

源泉徴収されている株の配当や、特定口座を利用しての株の売買など、一部例外で申告をしなくてもいいものがありますが、基本的には収入は全申告が必要です。

全ての収入を申告する理由

不動産の収入に関する税金は単独計算だから、それだけ申告すればいいはずなのに、それ以外のものを申告するには、きちんとした理由があります。

配偶者控除や基礎控除といった優遇措置に本人の所得制限がある場合があります。これが確定申告をすることによって受けられるかどうか決まるからです。

年末調整でこの控除を受けていた場合には、収入によっては対象外になり、税額が上がる可能性があります。

ただし、収入以外にも控除がある場合にはきちんと申告しましょう。

不動産の売却収入以外の収入がなければ、社会保険料控除や医療費控除などの所得控除を受けることにより、その収入を減らすことができ、結果として税金が安くなる場合もあります。

少しでも税額を安くするために、売却の資料だけでなく、控除を受けるための資料集めも必ずしておきましょう。

それから、ワンストップ特例使っている場合には、リセットされてしまうのでその申告も忘れずに(今年は定額減税も)。

定額減税は確定申告でリセットしないよう必ず申告する(ふるさと納税も)

<大事なこと>
不動産の売却で申告をする場合には、それだけを申告すればいいわけではありません。
他の収入や控除に関する資料集めも必ずしておきましょう。

<昨日の出来事>
午前中にお客様との打ち合わせを、その後は金融機関回りを少しだけ。


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