贈与というものは、ひとりの方だけでなく、複数の方から受けることもあります。
その際の計算方法をまとめてみました。
もらった人単位で計算する
贈与税の計算は、贈与で財産をもらう方が1年間でいくらもらったかというものをベースに計算します。
贈与税の納税も申告も、もらった人が行います。あげた人は何もすることはありません。
例えば、父親から100万円、母親から100万円贈与でもらった場合には、もらった方は全部で200万円もらったことになります。この200万円をベースに申告と納税します。
贈与税の計算においては、贈与でもらった人がいくらトクしたかによって納めるべき税金です。
もらった人がベースになる税金なのです。
基礎控除額の取り扱い
ところで、贈与税には基礎控除額というものがあり、110万円以下であれば、贈与税はかかりません。
この基礎控除110万円の取り扱いですが、こちらもベースはもらった人になります。
上記の例で、父親と母親それぞれ100万円ずつもらっているから、それぞれ基礎控除額以下なので申告も納税もいらないと思っている方が非常に多いですが、これは誤りです。
もらった人ベースに、もらった金額の合計額で計算し、それが110万円以下であれば申告と納税もいらずに、超えていればその超えた分だけ贈与税がかかるということになります。
上記の例だと、
100万円(父親の分) + 100万円(母親の分) −110万円(基礎控除額)=90万円
に対して贈与税がかかり、贈与税が9万円という形になります。
税率が違う人からもらう場合
ところで、贈与税には「一般税率」「特例税率」と2種類の税率が用意されています。
特例税率のほうが税率が低く設定されています。この税率が使えるのは、もらう方が18才以上で、あげる方が直系尊属のときに使うことができます。
つまり、親→子や祖父母→子、孫といった贈与が該当し、この場合には特例税率が使えます。該当しない場合には、一般税率となります。
ただし、贈与を受けた金額が410万円以下の場合には、どちらであっても税率は同じです。
ところで、両方の税率が混在するような場合には、計算は複雑になります。
例えば、親から400万円(特例税率)、配偶者の親から100万円(一般税率)の贈与を受けたとします。
この場合には、以下の通りに計算します。
1、贈与を受けた金額を合計
400万円+100万円=500万円の贈与を受けたとして、子の数字をベースに計算します。
2、1の金額をベースに特例税率、一般税率で税額を計算する
特例税率 (500万円 − 110万円)× 15% ‐ 10万円 = 48.5万円
一般税率 (500万円 − 110万円)× 20% ‐ 25万円 = 53万円
3、2の税額を贈与財産の比で按分する
特例税率 48.5万円 × 400万円/500万円 = 38.8万円
一般税率 53万円 × 100万円/500万円 = 10.6万円
4、3の金額を合計する
38.8万円 + 10.6万円 = 49.4万円
かなり計算が複雑になってしまうので、気をつけましょう。
とはいえ、確定申告作成コーナーで申告書を作成すれば、このようなややこしい計算もしなくてすみますし、間違えることもなくなります。
<昨日の出来事>
昨日は終日、買い物のため外出。
帰宅後にランニング7km。
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