源泉所得税は毎月10日(納期特例の場合、1/20と7/10)までに、納税が必要になりますが、納税がない場合であっても、納付書の提出が必要です。また、年末調整があると、取扱がちょっと特殊です。

0円の場合
源泉所得税は、所得税として天引きした源泉所得税がない場合、納付が不要です。
よくあるのが、従業員が家族のみで毎月8万円払っているケースです。この場合、源泉徴収が不要(0円)なので、納税自体はありません。
しかし納税はなくても、納付書の提出が必要です。
源泉所得税の納付書は、申告書としての機能もあります。つまり、事業者がいくら給料を払って、いくら源泉徴収したか(0円であっても)を報告する義務があります。
ところで、納付書は3枚複写になっており、金融機関で納税した場合には、金融機関を経由して1枚が税務署に送られています。
0円の場合は、金融機関に持ち込むわけにいきませんので、直接、税務署へ持参or郵送して提出します。
0円でも、納付書の提出は忘れないようにしておきましょう。
年末調整で還付した場合(源泉徴収税額>還付金のケース)
年末調整の時期になると、従業員の1年分の所得税を計算し、取りすぎていた場合には、年末に差額を還付します。
この従業員の還付金ですが、本来は会社が払うものではなく、税務署側が払うものです。
とはいえ、ひとりひとり税務署が各個人に還付するのは現実的ではないので、会社が立て替えて支払うことになります。
12月の源泉徴収税額(納期特例の場合は7〜12月)が、従業員への還付金を上回る場合には、その差額を納税することになります。
12月の源泉徴収税額が15万円、従業員に還付した金額が7万円であれば、差額の8万円を納税することになります。
納付書には、徴収した金額は通常通り記入し、年末調整で還付した金額は、年末調整による超過税額という欄に記載します。
源泉徴収税額<還付金のケース
従業員への還付金のほうが大きい場合には、若干取扱が複雑です。
この場合には多く支払ったにも関わらず、税務署から還付されることはありません。ただし、還付されない代わりに、翌月以降の納税に充てることができます。
12月(毎月同じ)の源泉徴収税額が15万円、従業員に還付した金額が40万円とします。
この場合には、12月の納税(1/10)は15万円−15万円(還付金)=0として処理します。
このときに、税務署に払いすぎた40万円のうち、残りの25万円は翌月の納税に充てることになります。
納付書には、年末調整による超過税額に15万円と記載(40万円とは書きません)し、左下の摘要欄に、翌月の繰越超過税額25万円と記載します。
その後も同様に、
1月(納税は2月) → 15万円−15万円(還付金)=0 翌月の繰越超過税額 10万円
2月(納税は3月)→ 15万円−10万円(還付金)=5万円
それ以降は、通常通りになります。
また、年末調整の還付金の繰越額は、ご自分で管理しなければならないので気をつけましょう。
0円納付が数ヶ月続きますので、納付書の提出は忘れずにやっておきましょう。
源泉所得税の納付や申告は、e-Taxのほうが圧倒的にラクです。こちらも考えてみましょう。
特に納付0のときは、インターネットバンクやダイレクト納付ができなくても簡単にできます。
<昨日の出来事>
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