法人成りするときの固定資産の取り扱い

法人成りした場合には、個人事業時代に使っていた固定資産は引き続き使用します。

その方法は何通りかあるものの、一般的には、個人から法人に売却することが多いです。この場合の大まかな流れをまとめてみました。

個人から法人へ売却

個人事業から法人成した場合には、事業形態が変わるだけで、仕事内容はほとんど変化がないかと思われます。そのため、個人事業で使っていた固定資産をそのまま使用するケースがほとんどです。

ただし、今後も減価償却費として引き続き経費にする場合には注意が必要です。基本的には個人での持ち物は法人の減価償却の対象外です。そのまま、個人事業の数字をそのまま転記して、引き続きの減価償却はできません。

そのため、個人の持ち物は、すべて法人に移さなければいけません。その時に、個人から法人へ売却するのが一般的です。

ところで、問題は値段をいくらにするかですが、基本的には時価で売買がルールです。

とはいえ、事業で使っているものの場合、特定の人にしか価値のないもののため、値段がつけにくいのが現状です。その場合には、帳簿価格(買った値段から今まで減価償却した数字を引いた金額)で決めてしまうことが多いです。

ただし、車の場合は注意が必要です。車の場合には中古車市場があるので、それなりに価値があるモノを減価償却が終わっているからという理由だけで1円で売買するのはNGです。やはり、原則は時価で、どうしてもの場合に限って帳簿価格という考えですので。

やはり、値段をいくらにするのかが悩ましいので(こういうふうに決めなさいというルールがないので)、金額が大きなものが複数ある場合には、専門家に相談しておくほうが無難です。

個人事業の最後の申告に注意

個人事業の最後の確定申告の際には、固定資産を法人に売却する分の申告が必要です。

まずは、売却分については、通常の事業所得で処理するのは誤りです。

個人事業で使っているものであっても、固定資産の売却には、譲渡所得という特別な申告をします。

個人事業者が固定資産を売ると、譲渡所得という別計算が必要です

ただし、通常は50万円の特別控除があったり、長期間保有しているものの場合利益の2分の1が課税対象になるので、通常の計算よりは税額が少なくなるのがほとんどです。

間違っても、雑収入などと処理しないようにしましょう。通常は損します。

また、消費税の納税義務があれば、この売却についても消費税の課税対象です。簡易課税の場合には、どのような事業をやっているかにかかわらず第4種として取り扱います。

この2点、非常に間違えやすいので気をつけましょう(帳簿から消えてしまうので…)。

法人側の処理

法人側も、個人からの数字をそのまま引き継いで減価償却するわけではありません。

第3者と中古品扱いで売買するのと同じ処理を行います。

例えば、購入金額300万円(耐用年数6年・4年使用)、帳簿価格100万円の車を100万円で買い取った場合には、

・購入金額 100万円
・耐用年数  2年(計算方法 6年−4年 + 4年×20% = 2.8年 → 2年)

で処理します。

また、車の場合には個人は定額法でしたが、法人は定率法に変わります。その点にも気をつけましょう。

<昨日の出来事>
午前はスタートが遅くブログのみ。
午後は新しいお客様の法人決算の設定、自分の月次決算のまとめ。

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