法人成り後の給料の決め方

法人成りした場合には、会社から給料をもらわなければ無収入になってしまいます。

そのために自分に支払う給料を決めて、それに従って支払う必要があります。

給料の金額はいつ決めてもいいわけではなく、期首から3ヶ月以内に決めなければなりません。

その際の給与の金額についてまとめてみました。

個人事業時代の収入がベース

法人成りするとは、今まで個人でやっていたことを、法人組織に変えることです。

イチから会社を立ち上げるのと違って、どの程度の売上や利益を見込みやすいのが特徴です。

特に新たなことを始めたり、一部やめたりしなければ業績は基本的には変わりません。

変わることといえば、ご自分の給料が経費になることです。

個人の場合、ご自分の取り分は経費になりません。売上から経費を引いた利益をもとに生活することになります。

法人の場合、個人事業のときの利益からご自身の給料を引いた金額が会社の利益となります。
ご自分の生活の原資は給料ということになります。

そのため単純に言えば、個人事業のときの利益÷12という数字が給与の月額を決めるひとつの目安になります。

社会保険料の会社負担がある

ただし、実際には社会保険料の会社負担分というものがあります。

社会保険料が給料の金額の30%ほどかかります。

個人の給料から15%ほど天引きするとともに、会社が負担しなければならないものが15%あります(40〜64才の場合)。

給料を50万円に設定したら、会社が負担しなければならない保険料は7.5万円くらいです。

・個人のときの利益
・役員報酬の月額×1.15(保険料の会社負担額)×12ヶ月

とのバランスが取れるようにしておきましょう。

できればギリギリまで取るのではなく、ある程度は会社にも利益が残ってバランスよく納税できるのが理想です。

ただし、厚生年金については65万円を超えると、それ以上の金額アップはありませんので、その分負担割合は少なくなります。

役員借入金の返済

法人成する場合、消費税や法人住民税を考慮して、資本金を設定するケースがほとんどです。

法人成りするときの資本金はいくらにすべきか?

ただし、その資本金だけでは事業をまわすのにお金が足りないので、社長が会社にお金を貸して当面の資金繰りをまわすケースがほとんどです。

また、個人時代の設備を会社に売却しますが、そのお金を払う資金力が会社にないため、未払いのままにしておくケースがあります。

そういったことから、会社の貸借対照表には役員借入金があることがほとんどです。

会社の利益を残さず給料を取ってしまうと、この返済もなかなか進みません。

仮に役員借入金が1,000万円あったとして、毎月10万円ずつ返していったとしても、8年以上かかります。5万円の返済ならば16年です。

計画的に進めていかないと、この返済は一向に進みません。

このお金を返してもらうには、会社に利益を残し、法人税を払ったうえで、その残りで返済する必要があります。

仮に、役員報酬が100万円に設定できるのであれば、例えば、役員報酬80万円+返済20万円といったことも検討してみましょう。

返済分は経費にならないので法人が払う税金は増えてしまいますが、個人の所得税や住民税が減るとともに、社会保険料の負担も少なくなります。

ちなみに、役員の給料は基本一定で途中変更はできませんが、借入金の返済は特にルールはありません。

個人事業のときになかった、役員借入金という勘定科目の数字も給料を決める重要な要素です。今どの程度の数字が残っているかを確認してみましょう。

<昨日の出来事>
午前はお客様との打ち合わせで決算内容の報告。
午後はその申告をすませました。ランニングは7km

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