事務所を借りたときの経理処理

事務所を借りた際の契約時の初期費用は処理が若干複雑です。
単純に、払った金額=経費、とはなりません。
支払明細書や賃貸借契約書も確認する必要があります。

領収書以外の書類も確認する必要があります

事務所を契約した際に支払う初期費用には、家賃の他に、

・礼金
・敷金や保証金
・不動産会社へ払う仲介手数料
・火災保険料

などがあり、
・経費になるもの
・数年にわたって経費にするもの、
・経費にならないもの(資産計上するもの)
が混在しています。

そのため、領収書や銀行の振込履歴だけでは、支払いの内訳が書いていないため、
経理処理することはできません。

支払いの明細書や賃貸借契約書といった、書類が必要になります。

支払った時点で経費になるもの

家賃や仲介手数料、火災保険は、支払った時点で経費にすることができます。

家賃 → 地代家賃
仲介手数料 → 支払手数料
火災保険料 → 保険料

といった、勘定科目で処理しておけば、特に問題はありません。

なお個人の確定申告書や、法人の勘定科目内訳明細書の地代家賃の内訳を記載する欄がありますが、
支払いの相手は、必ず貸主(オーナー)の氏名を記載しましょう。
振込先である、不動産屋や家賃回収代行会社を記載してはいけません。

礼金や敷金・保証金は要注意

礼金

礼金は、税法上の繰延資産に該当してしまうため、
20万円未満であるか、20万円以上であるかによって、処理が異なります。

20万円未満であれば、支払った時点で経費にすることができます。

一方で、20万円以上であれば、数年にわたって経費にしなければなりません。

基本的には5年間に分けて経費にしなければなりませんが、
契約期間が5年未満で、更新時に再度支払わなければならない場合には、
契約期間に分けて、経費にしなければなりません。

敷金・保証金

敷金や保証金は、解約時にお金が戻ってくるかどうかによって処理が異なります。
賃貸借契約書で、敷金や保証金がどう取り扱われるか、確認する必要があります。

全額が戻ってくる場合には、経費にすることはできません。
「敷金」や「保証金」などの科目で、貸借対照表に計上します。

一方で、〇%償却などと記載があった場合には、解約時に全額がもどってきません。
戻ってくる部分は、経費にできずに、
「敷金」や「保証金」などの科目で、貸借対照表に計上します。

戻ってこない部分は、礼金と同様は、税法上の繰延資産に該当するため、
基本的には5年間に分けて経費にしなければなりませんが、
契約期間が5年未満で、更新時に再度支払わなければならない場合には、
契約期間に分けて、経費にしなければなりません。

ただし、20万円未満であれば、支払った時点で経費にすることができます。