配偶者の税額軽減で相続税が0になるからと、すべてお母さんにとなるケースもあります。
ただし、その後のお母さんの相続のときに、税金が高額になるケースがあります。
どうして、そのようなことになるのか考えてみました。

2人分の財産がプラスされる
1回目の相続のときに、すべてお母さんに相続してしまうと、相続時点でお父さん(故人様)の財産が全て、お母さんの財産にプラスされます。
この時点で単純に2人分の財産を保有していることになってしまいます。
通常、老後の生活費などで財産が減ることが予想されますが、それでも2人分となると相続税は高額になるケースがあります。
相続税は財産を持っていれば持っているほど、税率自体が上がってしまう傾向にあります。
特に、お母さんが現役の時に働いていて収入があったり、相続で大きな財産をもらっていた場合などでお母さん固有の財産がある場合にはこの点にも気をつけましょう。
小規模宅地等の特例が使いにくい
1次相続の場合には、自宅版の小規模宅地等の特例は使いやすいです。
なぜならば、それが故人様の自宅であるならば、お母さんは無条件で小規模宅地等の特例が適用できるからです。
ところが、2次相続のときには、それなりの条件がつきます。
お母さんと同居 or 持ち家なし(それ以外にも条件あり)という条件がついてしまいます。
すでに独立して実家を離れているケースも多いですし、持ち家をすでに所有しているケースも多いかと思います。
そのため、2次相続では小規模宅地等の特例が使えないケースは、非常に多いです。
その分、課税される金額が大きくなって、相続税が高くなるケースがあります。
相続税計算上の問題
あとは、相続税を計算する過程でも高額になります。
まず、単純に2次相続では相続人が1人少ないので、ボーダーラインが600万円下がり、課税される財産がその分増えてしまいます。
次に、課税される財産を相続分で割り振って、相続税を計算するのですが、割り振るときの人数が少なくなってしまい、ひとりあたりの課税される財産が増えてしまいます。結果として、高い税率が割り当てられてしまい、全体の納税額が高くなります(ここはちょっと分かりづらいかもしれませんが)。
それにプラスして、
・税額控除の特例がほぼない
・生命保険や退職金の非課税ワクが減る
といったこともあります。
配偶者の特例で税金0になるからラッキーの裏には、このような事実が隠れています。目先の相続税だけで決めてしまうのは、危険なので気をつけましょう。
ちなみに、このあとの生活があるのでお母さんにすべて相続してもらいたいと考えるのは、アリだと思います(私はこの考えです)。
相続税の納税額も大事ですが、残されたお母さんの生活保証をしてあげることのほうがもっと大事です。
<昨日の出来事>
午前は、相続税の更正の請求に向けての準備。
午後は、年末調整の作業を少しと、ランニング7km。
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