不動産を相続時精算課税制度を使って贈与するときに気をつけたいこと

ときおり、生前に不動産の贈与をしたいというご相談を受けることがあります。

コスト的にはおすすめできないという説明をしつつ、ご家族の都合でどうしてもという場合には、相続時精算課税制度のご利用を検討してもらいます。

この場合に気をつけたほうがいいことについてまとめてみました。

届出書の提出忘れに注意

不動産の贈与をした場合で、相続時精算課税制度を使う場合には、贈与税の申告は必須です。

これを提出するのは、贈与を受けた人です(土地をもらった方)。

また、提出するのは、贈与を受けた年の翌年の2/1〜3/15(いわゆる確定申告の時期とほぼいっしょ)です。贈与を受けたときでないので、贈与から申告の時期まで時間がある方はご注意ください。

ここで、大事なのは提出期日を必ず守るということと、申告書と同時に届出書も提出することです。1日でも遅れた場合には、相続時精算課税制度は使えません。

万が一忘れてしまうと、通常の贈与の扱いになり贈与税が大幅にアップします。

たとえば、評価1,000万円の土地であれば、相続時精算課税制度を使えば0円(過去に相続時精算課税制度を使っていない場合)ですが、通常の贈与扱いになると贈与税は177万円です。

ちょっとしたミスが大きな命取りになりますので、気をつけましょう。

小規模宅地等の特例は使えない

相続時精算課税制度を使って、贈与税が0円になったとしてもそこで納税額が確定するわけではありません。

相続時精算課税制度は、実際に相続があり相続税の精算をして初めて納税額が確定します。贈与をする前に、相続税の納税がいくらになるかをあらかじめ見積もっておきましょう。

ところで、相続時精算課税制度を使った場合には、その土地には小規模宅地等の特例は使うことができません。

税金上は相続でもらったことにして計算しますが、実際は贈与でもらっているからです。相続or遺贈(遺言書で財産をもらうこと)での取得以外はNGです。

そのため、贈与を考えている不動産が将来、小規模宅地等の特例の対象になる不動産である場合には、使えなくなってしまい相続の際には不利になります。

できることならば、相続税の試算をしたうえで実行しておきましょう。

不動産取得税や登録免許税

コストの負担はそれだけではありません。

まずは不動産取得税の対象になります。これは、相続でもらった際にはかかりませんが、贈与でもらった場合には、不動産取得税の対象になります。

そして、不動産の名義を変更する際の登録免許税も相続のときに比べて高くなります。

いずれにしても、相続のときに財産を渡す場合と比べて、リスクもコストもかかります。

ご家庭の事情で不動産の贈与を考えている場合には、十分気をつけましょう。

<昨日の出来事>
午前はランニング7.5kmと歯医者へ。
午後は芝刈り、車の点検。仕事は少なめでした。

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