株の配当と国民健康保険料の関係

株を保有していることで、配当金を受けることができます。

配当金は税金があらかじめ天引きされていますが、確定申告をすることによって、税金が還付されることがあります。

ただし、その確定申告をすることによって、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の負担増になることがあります。

配当金と税金

株の配当金を受領する際には、あらかじめ税金が20.315%(所得税15.315%、住民税5%)が天引きされています。配当金が10万円の場合、税金が引かれて79,685円が入金されます(所得税15,315円、住民税5,000円)。

配当金の場合には、すでに正しい税金が引かれていることから、確定申告しないでも大丈夫ということになっています。

ところで、株の配当金については確定申告することによって、

・株の損失と配当金を相殺して納税額を減らす
・配当控除を受けて納税額を減らす(税金計算方法を変える)

という方法を選ぶことができます。

配当控除

配当金は原則20.315%ですが、計算方法を総合課税という方法に変えることにより、所得税5~45%、住民税10%にすることができます。

それに加えて、配当控除といって、配当総額に対して所得税10%(所得1,000万円超の部分は5%)、住民税2.8%の税額控除を受けることができます。

例えば、所得税10%の方が配当金10万円もらった場合には、

所得税10,000円、住民税10,000円がかかりますが、

配当控除を受けることにより、所得税10,000円、住民税2,800円税金が安くなることから、

所得税の負担なし、住民税7,200円ということになります。

何もしなければ20,315円もの税金がかかることから、税負担が圧倒的に少なくなります(約1.3万円ほど)。

課税される所得の金額が695万円までであれば、

所得税 20% - 10%(配当控除分) = 10%
住民税 10% - 2.8%(配当控除分) = 7.2%

で17.2%、何もしないと20.315%になるので、税金だけを考えると有利になります。

国民健康保険料・後期高齢者医療保険料

税金上は有利になる配当控除という選択ですが、トータルで見ると不利になることがあります。

国民健康保険料や後期高齢者医療保険料に影響を及ぼしてしまうからです(以下、国民健康保険料として説明しますが、後期高齢者医療保険料も同様です)。

実際配当をもらっていても、確定申告をしなければ国民健康保険料の計算上はゼロ扱いですが、確定申告をすることによって、配当の収入も反映されてしまいます。

国民健康保険料は市区町村や年齢により異なりますが、我孫子市で48才だと令和7年の所得割が13.35%なので、

仮に配当金を10万円もらって確定申告(所得税10%の場合)すると、

所得税 0円、住民税7,200円 国民健康保険料13,350円、

合計で20,550円となってしまい、確定申告しない場合20,315円より負担が増えてしまい損してしまいます。

配当控除を受けて税金が戻ってきてラッキーと表面上はなりがちですが、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料に影響してしまうので、考えておきましょう。

<大事なこと>
配当金を申告すると、税金は安くなり還付金を受けられるのでお得感はありますが、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料に影響してしまうので気をつけましょう。
以前は、所得税と住民税で申告方法を変えるという裏ワザがありましたが、今は使えませんので。

<昨日の出来事>
午前中にブログを終えてランニング7km。午後はお客様との打ち合わせを。
ランニングコースのひとつである公園の桜とチューリップが見ごろのようです。
ただし、渋滞してしまうのがネックなのですが…


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