特定の人に財産を渡すには

財産をお持ちの方が亡くなると、
残された相続人の話し合いによって、財産を分けることになります。
そのため、財産を持っている方の意向は反映されることはありません。

一方で、財産を特定の方に渡したいのであれば、生前から対策する必要があります。

生前贈与

生前贈与のメリットは、ご自分が生きているときにできるため、
自分の意思で財産を譲ることができます。

一方でデメリットもあります。
・贈与税が相続税に比べて割高
・不動産を贈与する場合、不動産取得税がかかる(相続の時はかかりません)
・不動産を贈与する場合、登記する際の登録免許税が高い(相続の時は0.4% 贈与の時は2%)

なお、多額の贈与を行うのであれば、相続時精算課税による贈与税の計算により
贈与税の負担を抑えることもできます。

例えば、3,000万円の財産を贈与した場合、
相続時精算課税により贈与税を計算すると、100万円
通常の計算だと、1,035.5万円となります。

ただし、通常の贈与税の計算方法では3年(来年から7年)前のものは相続税に取り込まれますが、
相続時精算課税制度による計算方法は、年数に関係なく、すべて相続税の計算に取り込まれます。

遺言書

ご自分が亡くなった場合には、基本的には残された相続人の話し合いによって、
財産の分配を決めることになります。

ただし、遺言書の作成をすることによって、
特定の人に財産を指定して渡すこともできるなど、
ご自分の意向を反映することができます。

遺言書には、
・自筆証書遺言(自分で手書きして作成する)
・公正証書遺言(公証人に作成してもらう)
・秘密証書遺言(自分で手書きして作成後、存在を公証役場に証明してもらう)
と3種類あります。

注意点として、
・遺言書を作成する場合でも遺留分(財産を最低限もらう権利)には配慮が必要
・自筆証書遺言、秘密証書遺言は、作成方法に誤りがあると、無効になってしまう
・公正証書遺言は、費用がかかる
・遺言書があると、相続人は話し合いの必要がないため、もめる可能性は低くなるが、
極端に偏った内容だと、逆にもめる原因に

生命保険で現金を残す

生命保険を活用することによって、特定の人に現金を残すこともできます。

生命保険でご自分が亡くなった際に、財産を渡したい人を保険金受取人にすることによって、
間接的に現金を渡すことが可能です。
相続人は、そのお金を利用して、相続税の支払いに充てることもできます。

また生命保険金は、500万円×法定相続人の人数まで、相続税がかかりません。

ただし、年齢によっては生命保険に加入できなくなる恐れがあるので、
相続税がかかる可能性がある場合は、早めのご検討をお勧めします。